イ・ジュンイク『パク・ヨル』韓国
数年前,映画館でみて,今回はGyaoでみた.
シネマートだったかでは,
韓国の俳優のこともよくわからず,
「金子文子」という日本人を
韓国映画が描いていることへの興味くらいしかなかった.
12月くらいからGyaoでやっているので,
もう一度どんな映画だったか確かめたかった.
原題はおそらく『パク・ヨル』だが,邦題は『金子文子と朴烈』.
公開時の感想を憶えているだけかく.
金子文子を演じている韓国人が
(日本語のイントネーションはかなりなまっているが)
見ているうちに,どんどん日本人にみえてきたことへの
驚き(なにしろ,彼女が主役だと思っていた).
朴烈を演じる若い俳優の
存在の横柄さと強まる精神性が,
大正期日本の社会のイメージをしっかりとらえていることに
不思議な感じがした.
関東大震災とはこんな感じだったのかと,
想像するだけだが.
(たぶんもっと悲惨な状況)
去年,
「シグナル」の韓国版と日本版を見比べて,
イ・ジェフンという人の演技のすごさを実感していた.
今回
「金子ふみ子と朴烈」をみて,
主役のパク・ヨルがイ・ジェフンであったことに
やっと気づいた.
***
金子文子については,
その断片のいくらかを
いくつかの評論で
知っていて,
不幸な少女時代,
日本社会の矛盾に抵抗し
韓国人の社会主義者とくらし
その人の故郷に葬られたというあらすじを
知るていどだった.
この映画の女性のことばは,
現代のわたしたちを
鋭く射る.
資本主義や共産主義のもつ
管理社会への志向を
じぶんの存在で批判する.
社会主義者?とは誰のことか.
自由主義が自由党と関係なかったように,
社民党とは無関係のようだ.
この映画は何の「主義」も示さない.
現代に生きる思想の存在を言いたいだけだ.