『南極日誌』2005
(Gyao)
テレビで『チャングムの誓い』をみて
韓国ドラマがすごい,と思いだしたころ
初めてみた韓国映画.
フェスティバルゲートという施設に
4つくらいスクリーンがあった映画館,
シネコンと分類されるのだろうが,
現在営業しているところよりも
スクリーンは大きかった.
2000年くらいまでは
当時の若者がわんさか集まって
私などいけるところではなかったが,
『南極日誌』をみにいったときは,
フェスティバルゲートは
閑散としていた.
まだ,ジェット・コースターの半分は
動いていたような記憶がある.
『南極日誌』は20人程度しか入っていなかった.
***
17年以上たってみてみると,
わりとよくできた映画だ.
*
韓国映画をじぶんで見るまでは,
「アジア映画際」などで
中国映画のおまけのように数本みただけで
知っているのは「アン・ソンギ」くらいだった.
『南極日誌』の主演についても
まったく知らなかった.
とにかく,大がかりな撮影がされたらしい,と
見に行って,
感想もその程度だった.
***
今回,GYAOで無料で
寒い時期だし,ひまだし
ソン・ガンホ主演だからもう一度みてみようと
みたら,
すごく面白い.
冒険映画というより
人間存在の極限が描かれていた.
何のために生きているのか.
金,名声,愛欲?
到達不能点をめざす探検隊は
私たち庶民からすれば
冒険家であり,
それは
強力な死に追いかけられているか
死に待ち伏せされているからだ.
人間性を失っていくことで
人間じしんがあらわれてくる極限状態.
度を越したリアリティーから
華々しさや幸福を期待することはできない.
雪と氷の世界の冒険家映画として
ファン・ジョンミンの『ヒマラヤ』(2015)を
思い出した.
こちらには,栄光と人間らしさの尊厳があった.
危険をおかしても遂行する「目的」があった.
しかし『南極日誌』には,
すべてはがされた存在しかない.
***
公開時にみたときは,
その探検のリアルな壮絶さに気がいって
脚本や演出のすごさに気づかなかった.
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フェスティバルゲートは
USJに若者の財布を奪われ急激に廃墟となった.
それが,
大阪の文化の特徴のよう.