アラブとの石油取引で
世界一の大金持ちゲティの孫ポールが誘拐される.
ホテルに泊まったとしても
シャツは,自分であらうくらいの吝嗇家であり,
家族とのやりとりについても商売とかわらない.
身代金(1973年当時の)1700万ドルを
払うつもりはさらさらない.
彼の本心は隠されている.
ポールの母ゲイルは,離婚の際
養育費をもらわなかったので,
アパートの家賃さえ滞納している.
助け出してくれるはずの警察は
頼りにできない.
彼女が,
マフィアの誘拐犯と大富豪ゲティという
力そのもの相手に
自分の息子を救い出さなくてはならない.
***
1973年に起こった誘拐事件.
ゲティも実在した大富豪であり,
実話であるという.
金持ちの思考と行動というものが
ややデフォルメされてはいるだろうが,
見るものには納得のいく脚本である.
原題 All the Money in the World というのは
英語が苦手教科だった私にも
なんとなくわかる.
(「世の中の金という金」という意味?)
詳しくは描かれていないが
こういった金持ちが
オイルショックとそれにからむ政変や戦争を
あやつっていたことを
思い知らされた.
***
リドリー・スコットというと
われわれの世代は
『エイリアン』と『ブレードランナー』
を思い出す.
『ゲティ家の身代金』も
脚本と演出の巧みさが
次はどうなるのかという
緊張感を与え続けてくれる.