『フェリーニのアマルコルド』1973,伊.
フェリーニの作品は,私のような老人なら
知らないうちに日本語吹き替えで
見ていることが多い.
映画監督なんかに興味がなかったのに,
テレビで
とびとびにみた「洋画」が
つながる気がしたきっかけが
中学生のときにみた『悪魔の首飾り』と
働いて数年たってからみた『女の都』である.
理由もなく,共通するものを感じたので
(ネットなんて想像もできなかった時代)
調べると,どちらもフェディリコ・フェリーニ.
たまたま
80年代になぜか『8 1/2』を梅田でみることができた.
そのあと,フェリーニの題名をみていくと
何本かはみてきたものだった.
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『フェリーニのアマルコルド』については
何回かテレビで見るチャンスはあっただろうが
見たのかどうかも憶えていない.
じゅうぶん歳をとって,
一般の人なみの映画をみるようになって
やっと,この映画が楽しめた.
難しい映画?ではなかった.
私が
映画にストーリーを重視し
映画じたいをみようとはしていなかったのだろう.
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『アマルコルド』は
徹底的にイタリアを描いている.
フェリーニの想念,
イタリア・ファシズムの台頭期の民衆の暮らしの
イメージ.
ひとが他人に伝えたいのは
じぶんの想念である.
じぶんの夢を家族に
伝えることは不可能である.
映像によって自身のイメージを構成することこそ
映画の核であることを,
フェリーニの映画は喚起する.
イタリアや1930年代には
無縁な私の心の中に
もともとあったようなシーンが
どんどん積み重なっていく.
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1973年の作品.
黒沢明の『夢』1990と比べてしまう.