たけの湯な日記

個人的な感想ー画像の「引用」が不安です.

『リターン 真相』の悪事

『リターン』2018

このドラマの眼目は,やはり主役の途中交代であろう.

各回完結のエピソードではなく,
長いひとつのドラマの主演が途中で代わること
を受け入れるのは,
私たちの想像力といえる.

結局はこの人でよかったんだ
と思ったのは私だけのようではない.

コ・ヒョウンジョン リターン



コ・ヒョンジョンを「善徳女王」で知って,

「レディプレジデント」,「女王の教室」,「ディア・マイ・フレンド」
と見てきて,『リターン』の主演はふさわしいと思って
見始めたが,
途中降板したという先入観があるからか,
やや場にそぐわない印象をもっていた.

さらに
ぜんぜん知らないパク・ジニが「チェ・ジャヘ」として
登場したとき,何ともたよりないサスペンスの主役に見えた.

『リターン』主演の交代



が,
回をおうごとに,その脆さ,危うさが演技として
必要な過去の持ち主であることがわかってきた.

これは,コ・ヒョンジュンのはじめた演技とは
少しちがうものだな,と.

いつのまにか,
新しいチェ・ジャヘが,ドラマに強烈な陰影を
加えるようになった.

**
このドラマは,格差や社会悪,腐敗権力といったものを
少し距離をとっていて,
人間個人のもつ,無意味で残酷な欲望と罪,それを裁く法律を
捕らえようとしている.

極端に個人的な犯罪が,
現代社会においても
権力や財産しだいでは,
罰せられない法秩序がある.

法は弱い者を護ってくれるわけではない.

『リターン』は4人の準主役の30過ぎの男たちのドラマが
傑出している.
とくに,
シン・ソンロクとポン・テギュの2人が演じる
ソフト会社の社長と大学教授の日常は
私たちの想像力をこえているのが
かえってリアリティを感じさせる.

「リターン」罰せられない犯罪

とんでもないミステリーは
筋だけとれば,
予測可能ではあるが,
事件そのものよりも,日常的な悪事にこそ
真実が隠されているかのように
冷たく目を覆いたくなる.