『修羅の華』イ・アンギュ監督,2017
(Gyao)
『ミオク』という原題は
わからなかった.
あとで
「輝国山人の韓国映画」で「美玉」と
かいてあり,合点がいった.
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邦題『修羅の華』とキム・ヘスの顔で
だいたいの雰囲気は予想していて,
当時あまり韓国映画に興味もなかった.
公開前は「大切な人」として
紹介されていたようにもみえる(英題「A Special Lady」).
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キム・ヘスについては
『10人の泥棒たち』2012では
あまりわからなかったが
『コインロッカーの女』2015で
こわい,とわかった.
『修羅の華』はそのこわさが
かっこよさにもなっている.
「ミオク」という名は「美しい玉」.
犯罪組織から一般企業に変貌しようとするボス(チェ・ムソン)と
暴力で動かそうとするナンバー2(イ・ソンギュン)が
内面での対立をしていく.
ボスの秘書ヒョンジョン(キム・ヘス)が
(裏での)実質ナンバー2であり,会社の暴力をになってきた.
権力と財力・暴力のぶつかりあい.
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この映画は
はじまった瞬間に政治と資本,暴力の
関係を図式化してくれる.
イ・ヒジュンが検察権力として
その醜さを演じる.
暴力が破滅へむかうのか,
そして
静かな後半生を夢見るのか.
予測はできるのだが
どうしてそこまで暴力的に生きるのか.
なんのための暴力であるのか
が一つの視点となる.
絶望的で破滅的な暴力に
ともなって
何かを守るための暴力がある.
しかし,
これも暴力であるかぎり
希望は絶たれている.
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クォン・ユルの絶望的な
登場は
この物語の方向を暗示していた.