『操作された都市』パク・クァンヒョン監督,2017
(Gyao)
オンラインゲームの戦闘部隊のなかまが
現実社会で,
犯人にしたてあげられた隊長(チ・チャンウク)の
脱獄から真犯人究明をなしとげる
痛快アクション.
監視カメラの映像加工,
現場に残された凶器,指紋,体液.
実際にありえる証拠の捏造は
映画の中,彼らであったから
覆すことができたが,
現実の私たちにはほぼ不可能である.
人間どうしの直接的なコミュニ―ケーションをとれない
ハッカー「髭面兄貴」をシム・ウンギョンが好演.
登場してからずっと
これだれ,という感じで,
顔が映っても,個性を消している.
彼女はすぐそばにいても
携帯でのコミュニケーションしか
とらない.
じぶんの名前や素顔を認められることは現代社会ではストレスで,
直接ことばをかわすことは
うっとうしい営為でしかない.
***
刑務所内には理解可能な
暴力の秩序があり
外の世界には
理解不可能な混乱がある.
十人を殺した凶悪犯(ウ・ヒョン)は
静かだが刑務所内ではもっとも恐れられていて,
主人公がどういう人物あるかを見抜く.
それは非現実的な世界ともいえるのだ.
***
この映画は,ハリウッド的な娯楽大作ではあるが,
韓国映画らしい
社会悪や権力への批判と反省が
芯として存在する.
しかし,工夫された演出と映像は
じっくりみる価値がある.