イ・ビョンフンの『商道』2001
はじめて見た韓国ドラマは
『冬のソナタ』ではなく
『チャングム』2003であって,
それも途中からである.
当時はブラウン管テレビで
私はそのあとの再放送で数回みることができた.
『チャングム』しか見なかった.
イ・ビョンフン監督を知った.
***
どの順でみたかははっきりしないが
テレビ放送されるイ・ビョンフン作品は
すべて見ている.
※「朝鮮王朝五百年」「大王の道」をみていない.
その中で総合的にすきなのが『商道』である.
(おもしろさでは『トンイ』)
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イ・ビョンフンのテレビドラマをみて
おどろいたのが,50話以上の超大作なのに
1本1本が映画のように緊張感があり
映像が美しいことだった.
とくに,『商道』は古いドラマでありながら
季節や状況を描く「情景」が
とことん下調べしてから構図をとっていることだ.
人間が景色にとけこんだ瞬間のカットの力のいれよう.
わざわざ,そんなところから
この遠景を撮るのか,
と悪態をつきたくなるほど
こっている.
どの回の風景も
手を抜かずに
カメラの位置,俳優たちの位置,
そのときの心的状況を
反映した,というか包み込んだ
自然が選ばれている.
説明することばや
誇張された表情はなく,
ごくふつうの人として
俳優たちは存在する.
水面は,何かを映し出し
空間や人々の影が
画面に奥行きだけではなく
美しさを付け加える.
ドラマとしては
このような風景の撮影は
金と時間を費やすだけで
ストーリーを左右しない.
なぜ,ここまでこだわるのか.
どこをとっても
ぜいたくな人員配置と
遠景を描き出している.
いつまでも
この絵柄を
楽しんでいたい.