『スタートアップ(始動)』2019,チェ・ジョンヨル監督
(Gyao)
チラシをみたときに
いきたいと思ったけど
理由はわすれましたが,
いきませんでした.
とてもみたかった,青春コメディー.
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テギルが,高校を辞めて
中華料理屋の出前持ちをしながら
現実社会とむきあっていきます.
30代のパク・ジョンミンが
18歳のテギルを演じ,
母(ヨム・ジョンア)や
謎の料理人コソク(マ・ドンソク)
親友(チョン・ヘイン),
孤高のボクシング娘(チェ・ソンウン)
すべてを受け入れる店主(キム・ジョンス)
など
それぞれが
他人にはいわないでいる事情があり
孤独に闘っていたのでした.
このような心理状況の設定や
社会関係,貧困の問題を扱うのは
2010年代の韓国映画の特殊性/普遍性です.
韓国映画への批判は
しばしば,この社会性や庶民派の思想性に
むけられます.
世界のいやな面を
みたくない
コメディならコメディらしく,とか
こんなことは
韓国でしかおこならい,とか.
昭和の私たちには
そういうことが
目の前でおこっていました.
いまでは
それらが,
現実社会がもっと悪質になっていることが
わかっていても
その罠の中にはまっています.
少なくとも私は
その中にいるので,
なぜこうなっているのか
年老いても
知りたくもあるのです.
マ・ドンソクの楽しいところは
しゃしゃりでていないのに
圧倒的な存在感を
ただよわせているところ.
体格と顔面,
つまり
出オチ.
この人がでてくると
いつも
どのような設定なんだろう,と
想像しないわけには
いきません.
コソクもじぶんのことで
せいいっぱいに
いきてきました.
店主が
この4人をそれぞれの事情を
みてとって
受け入れていきます.
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爆笑映画でありながら
説教くさい人生ドラマを
私は歓迎します.
若本たちは
オンボロの原付で
疾走するのでした.