シン・ハギュンの『霊魂修繕工』2020, KB2
大御所シン・ハギュン(46)が
精神科医イ・シジュン教授.
患者のウジュを
チョン・ソミン(31).
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ドラマは,主だった俳優たちが
すすめていき,
数話ずつのエピソードに,
よく知っている俳優が出演.
新人で有望なミュージカル女優ウジュは
感情をおさえることができず
スタッフからみはなされている.
「境界性パーソナリティー障害」の症状が
進行し,絶望していくウジュ.
精神科医たちの支える努力と
病院組織内の出世争い.
ドラマであるから誇張されていたり,
理想化されているとして…
感心したエピソードは
「盗撮」をする原因が精神疾患であり,
彼らを軽犯罪者というより
治療(矯正?)の必要な患者とみていること.
被害者の女性がどれだけ
精神的に傷ついているのかを
リアルに描写することで
隠し撮りや盗視が
病気であっても
許せない行為であることが
証言される.
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日本で
よくあるような
スカートの下を写すところまで
いかない.
地下鉄をまつ,立ち姿を写して
自分たち(ドラマでは同じ趣味の医師たち)のSNSで
あれこれいう.
日本人なら
見逃している被害女性のつらさ
をはっきり証言してくれる.
そこに
気づかない社会は
同じ病に陥っているし,
罪がある.
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地下鉄御堂筋線は
痴漢が多くて有名だが,
外国の観光客が増えてからは
「痴漢行為は犯罪です」と
いうアナウンスとポスターは消えた.
痴漢がいなくなったわけではないだろう.
地下鉄運転手は
孤独に運転をし,
時間と乗客の安全をまもるために
過度のストレスを感じ,
心身ともに疲弊している.
労働条件を改善しようと
労組とともに尽力してきた国会議員は
支持者も多く,
大臣候補といわれている.
しかし
彼は
運転手たちの労働条件を改革することが
自分にできないだろうことで,
チック症と言語障害になる.
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そんな大臣候補が
現実にありえるのだろうか!
ウジュ役のチョン・ソミンの
「ボーダー」は迫真の演技といえる.
私は,
ほんとにこんな苦しみかただろうなと
感じた.
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主役の恋愛事情については
シン・ハギュンが
私からすれば
「若い男」にみえるのだが,
中年くらいまでの人にとっては
かなり老けたスターに
うつるかもしれない.
設定は,年齢なりの
病院内の地位にある.
彼の患者に接する姿勢や治療方針は,
一般の私たちがのぞむ,
理想的な精神科医の姿だろう.