ユ・アインの『思悼(サド)』王の運命ー歴史を変えた八日間
ソン・ガンホ『王の運命―歴史を変えた八日間』
「サド」のままだったら
フランスのマルキ・ド・サドと思われてしまうので
邦題を「王の運命」としたのだろう.
2016年公開時,
私の知識は
テレビの『イ・サン』で知ったもの.
冒頭エピソードで
謀反の疑いで米櫃の刑で死に,
後半に
孫のサン(主役)が
王位につき,父(サド世子)の名誉を回復するという.
しかし,映画でみたのは
全く違った.
私は,ユ・アインどころか
ソン・ガンホの名前も知らなかった.
※顔は知っていたけど.
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息子ソンに王の資質を認めない
父王(ソン・ガンホ)が,
自身の長期政権のあと孫サンに王位につけようと
目論む.
息子の摂政としての政治判断が
父王の実績とかみあわない.
両班(貴族)たちは
税からも兵役からも逃れている.
追い詰められる世子を
ユ・アインが想像をはるかに上回る演技で
緊張感を高める.
宮廷では
女たちこそ
党派の勢力を左右する.
だれ守るために,
だれにつけばよいのか.
母親は,夫と子なら
子を選ぶ.
これは,
ゆるぎのない原理だ.
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米櫃の話は
朝鮮半島の人々には
周知の史実なのだろうが,
これだけのリアルな映像に
仕上げる演出は
みる価値がある.
私は,これでユ・アインに関心して
それが『ベテラン』の財閥のバカ息子と知って
驚いた.
息子と父の葛藤が
政治的対立となり,
政治的対立は敵を殺すことである.
このとき,親子として
譲るのは子のほうであった.
ユ・アインの映画.