『ヘチ 王座への道』サホンブ(司憲府)とは何か―政治への思い
『ヘチ』2019,
(Gyao)
英祖(李氏朝鮮21代王)を
チョン・イル(1987生)が,演じる歴史ドラマ.
私は,この俳優を『太陽を抱く月』でみただけなので
あまり特徴をとらえていません.
**
李氏朝鮮の歴史で
英祖(クム→延礽君;ヨニングン)のことは,
『トンイ』で学んだつもりでした.
宮中で水汲みか洗濯かをしていた身分の低い母(トンイ)から
うまれた王子であり,
兄(20代王)は,
『チャン・ヒビン』という
すごいお母ちゃん(側室)の子であり,
王位を継ぐが跡継ぎが生まれないから,
異母弟の延礽君を「世弟(セジェ)」としたということ.
ここまで.
『ヘチ』では王位継承争いにもう一人
ミルプングンという傍系がでてきました.
歴史上の実在のようです.
チョン・ムンソンが
強烈な人物を演じあげています.
宮廷の大臣・高官たちは
老論派(ノロンハ)と少論派(ソロンハ),
さらに勢力を失った南人派(ナニンハ)という
権力争いをくりいろげるのですが,
それは誰を擁立するか,が焦点になります.
「派」という
派閥というのか政党というのかは
歴史ドラマにしょっちゅうでてくるのですが
まだまだイメージと関係がわかりません.
『ヘチ』は,大きな設定として
「司憲府(サホンブ)」という
機関で,若い役人たちが
宮廷の権力者たちの不正にたちむかっていく姿を
描こうとしています.
司憲府の中にも
不正をあばこうとする人々と
甘い汁をすい,権力をえようとする人びとがいたのです.
**
「司憲府」は本来,
高官・役人や王もふくめた権力の不正
を指弾する組織のようでした.
王からもある程度独立している
検察や憲法裁判所のようなものでしょうか.
このドラマでの政治は
ことばにより表現されています.
具体的な施策ではなく
その立場と行動をささえる思想を
ことばにしていきます.
**
現実の政治は
ことばより暴力により進められますが,
『ヘチ』はフィクションとして
ヨニングンの思想的な成長により
王座に近づけていきます.
論理は,AはAであるとしか
言えないですが
そのことばの温かさやすなおさにより
信念が形成されます.