たけの湯な日記

個人的な感想ー画像の「引用」が不安です.

鈴木亮平の『エゴイスト』

松永大司監督『エゴイスト』2023,東京テアトル

大阪でふつうにくらしていると
ゲイの人をみかけることはあっても
暮しで関りをもつことは
ほとんどない.

**
テレビの『昨日何食べた』は

はじめはおもしろく感じたが
私たちと何ら変わりない生き方を
示しはするが,
設定に頼っているだけに思えた.

映画『チョコレートドーナッツ』(2012)の
投げかける問にくらべれば
コメディにすぎない.

**
『エゴイスト』には原作があり
作者の自伝的小説だという.

2時間のドラマであるから
私たちは悲劇的な生き様しか
想像はできない.

鈴木亮平の演じる「斉藤」は
じゅうぶんな主役でありながら
語り役として全体を支えている.

急激に愛し合うようになった「中村」(宮沢氷魚)との
関係の深さは,リアルなセックスで
描き,
若くて「きれい」な中村の
男色売春により
同性愛の性交渉の現実を
見るものに実感させる.

**
前半はゲイの性を露骨に
物語ることで
中盤,後半の生き方の正直さを
飛躍的に真実の人間愛として認めさせる.

中村の母(阿川佐和子)の存在は
斉藤にとって
仕事をして稼ぐ根拠であり
生きる理由であったのだ.

**
LGBTを登場人物に設定することで
テーマ,ストーリーが
ある方向にすすむ.

この点では
草彅剛の『ミッドナイトスワン』(2019)
から着想をえている描写が
いくつかある.

『ミッドナイトスワン』は
性自認じたいを本人がとらえきれずに
苦悩していくのだが
『エゴイスト』は
性欲をおさえるのではなく
性交渉が避けられない,必要な行為として
繰り返される.

しかしどちらも「愛」を
普遍化しようという
構想があり,それは結実している.

**
『エゴイスト』は原作が小説であり
『ミッドナイトスワン』は映画のための脚本であるが
文学的な想像力と共時性は後者がすぐれている.