『明日へ』(原題は『カート』らしい)韓国,2015
非正規雇用の問題を,真正面からとりあつかっている.
大手スーパー「THE MART」のレジ係や清掃係が,
(会社売却のために非正規雇用者を)多量解雇される.
主婦たちが未組織だった労組をつくり,
経営側の圧力に抵抗を続ける.
離脱者もでるが,
それぞれが苦悩し,まなんでいく.
しかし,現実は資本側に味方をする.
主役のパート(ヨム・ジョンア)の家庭を通して
下層社会をかいまみることができる.
息子も高校生活をおくるため
コンビニのアルバイトをはじめることで,
母が闘っている相手と,理由を理解する.
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こんにちの日本では,
労使問題はタブーであり,
マスコミはほとんど扱わない.
また,
映画人もこのような社会批判をこのまない.
せいぜい,ローカル局のドキュメンタリー番組を
再編集した映画.
日本の監督や俳優が「芸術性」を求めているなら
映画に生命をそそぎこむべきだ.
ゆるいだけの作品が美しいといえるだろうか.
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この韓国映画は,社会問題をあつかいながらも
有名な俳優たちが参加し,
おどろくべきリアリティを生みだしている.
なんども涙がこみあげてきた.