たけの湯な日記

個人的な感想ー画像の「引用」が不安です.

『異夢』イモン(2)ー大作の主要人物たち

『イモン』の登場人物

主役はユ・ジテとであり,
2人の歴史的使命と愛のドラマではあるが,
この大作をおもしろくしているのは
様々な「脇役」の設定とその演技.

とくに,3人の人物設定が,
歴史を傷を巧みにえぐりだしていた.

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①ヒロシ

このような日本人の名字があったのか
気になってしまうのだが,
(ヒロセからか?)

イモン ヒロシ

この男(軍医)が
日本軍が殺戮した村で気まぐれで
幼いヨンジンを救って,養女とする.
いまは
自分が副院長を務める朝鮮総督府直轄の病院の
有能な外科医である.

ヒロシはヨンジンに日本国籍をえながらも
朝鮮語の家庭教師(家政婦)をつけ,
朝鮮名をなのらせている.

理解できないほど複雑な
ヒロシの思想は,
当時から現在にいたるまでの
ややこしい私たちの思想を表現している.

いくつかの象徴的な小道具が
用いられるのだが,
矛盾した人物をことばにすることは
できていない.
しかし,この俳優(イ・ヘヨン;今まできづかなかった)の
演技が,脚本以上の表情を獲得している.

ヒロシは医師としてよりも
軍人としての意識と権力欲が強く
その一方で
朝鮮人の養女や部下への思いやりもある.

※ヒロシが日本本土に家族をもっていたのか
それとも独身であったのか,私には不明.

②フクダ(イム・ジュファン)

有望な若手検事.
父親は自由主義的な政治家であるために
軍に暗殺された.

フクダ検事は
朝鮮総督府で検事として
客観的で公正に犯罪事件を処理していたが,
やがて

半日独立運動家の情勢確認と
鎮圧の任務につく.

彼の日本人としての思想的な変化が
後半の注目点であるが,
イム・ジュファンらしい演技である.

イモン マツウラ刑事とフクダ検事


③マツウラ刑事(ホ・ソンテ)

鍾路警察署警部.
朝鮮人である.
口にする「愛国心」は.生きる術かもしれない.
朝鮮総督府の権力の構造にくみこまれてしまった
朝鮮人刑事であるからこそ
反日・独立活動家たちを
憎悪し,敵視する.

イモン ホ・ソンテ


彼は「青い鳥」とよばれる密偵
割り出し逮捕に,命をかけるのだ.

ホ・ソンテは

私が韓国映画がおもしろいと
思いはじめた10年前くらいから
みかける俳優であるが,

つねに実直で有能ではあるが
権力の罠にみずからはまり込んでいる
哀しい人物を演じている.