「8th 大阪韓国映画祭(2022.9.23-25)」--家族のかたち--問いかけ
駐大阪韓国文化院の「大阪韓国映画祭」9月
韓国映画(社会)の
問題意識なのか,
あるいは
韓国文化院のスタッフの選定眼ともいえる,
『マリムさんをお願い』
『2037』
『おんぶ』
『カシオペア』
『子供のための子供』
この5本を選んで,大阪の人間にみせる「大阪韓国映画祭」の
現代的感覚.
(5本とも入場できて,感謝.満員でした.)
たまたまであろうが
この5本は,私たちに
現代における家族の変貌と
これからの〈家族〉のかたちを
提示している.
**
独居老人
性暴力
父子家庭
若年性アルツハイマー
未成年後見人
扱う題材・設定は個性的で,
コメディ,サスペンス,
ヒューマンドラマ,社会派ドラマ,青春ドラマやらで
つくりかた,演じ方はちがう.
しかし,そこには
〈ともにいきる〉とは何なのか,
私たちは,「誰と」ともにいきていこうとするのか,
という問いがあり,
それぞれ新しい〈家族〉あるいは〈家〉が
提示されていた.
『カシオペア』は,認知症介護の話ではあるが
弁護士である娘が認知症になり,
老いた父(アン・ソンギ)が介護をするという
立場が逆転した構図.
先行する題材としては
『子供のための子供』の未成年後見人.
余命を知った父親(チョン・ウンイン)は,
児童養護施設にいた成人し退所予定の息子をみつけだす.
父の家には中学生の弟がいた.
青春ミステリー.
もっとも現実的な可能性をしめしているのが
『マリムさんをお願い』
ソウルの息子家族との同居をこばんできた
85歳の老母(キム・ヨンオク)がたどりついた暮らしは…
**
たまたま5つとも,
古い社会通念にそった映画が描く家族像ではな
〈家族のような関係〉によって
支え合っていきていく姿を提示している.
それは,
保守的な私たちの感覚では
納得しにくい関係である.
しかし,
大半を占める下層の庶民だけではなく
その少し上の「中間層」にしても
古典的な家族関係では
息苦しい現代社会をいきぬくために
「国家」が想定していなかった共同性を
受け入れていかなければならない.