ディケンズ『デイヴィッド・コパフィールド(二)』ーー青春があるとすれば
石塚裕子訳『デイヴィッド・コパフィールド(二)』
母の再婚相手とその姉の虐待のわなから
逃亡した
デイヴィッド・コパフィールド.
金銭を奪われ,服をうり,
浮浪児同然で伯母の家にたどりつく.
伯母は読者の期待通りの
変人で信念の人であり,
デイヴィッドを,継父から守ろうと決断する.
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私たちは,ここでいくぶんかの
安堵をえる.
この第二巻(13~24章)は,
少年が思い描く社会と未来が
現実と衝突しつながろうとする
思春期が描かれる.
そこには,若い自由がまっている.
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主人公は,新しい人たちに出会い,
片思い的憧憬もしくじり,
尊敬する兄的存在のスティアフォースや
なつかしい人たちに再会した.
伯母は,デイヴィッドをトロットと呼ぶ.
あのね,トロット.
もしこのわたくしの人生に目標があるとすれば,
それはおまえが立派な良識ある
幸せな人間にあれるようにしてあげることなんですよ.
(p.420)
弱い未成年に
保護者のいる安心感とともに
自由をあたえることの
危険さを,私たちは
ディケンズに思い知らされている.
こんなしがない人間ですが,
でもまったくそのとおりだと
分かっておりますとも.
こりゃ,ありがとうございます.
コパフィールドの坊ちゃん.
(p.147)
卑屈な
ユライア・ヒープはこつこつと
法律の勉強を続けていた.
【追記】
なぜこのような子供たちの話に
私は入り込んでしまうのだろうか.