『薄氷の告発』ユン・クォンス監督,2023
することもないので
何かしようと考えると
映画くらいしかなく,
今日が最終日ということで
この映画.
シネマートでは
15日から1週間しか上映されなかった.
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アイススケートのコーチの
性暴力を被害者が告発するということを
真正面から描いている.
実在の個人や団体に関係はないとしているが
実際のスポーツ界に日々おこっていることだと言える.
ジュヨン(ペク・ジニ)は
アイススケート,ショートトラックの韓国代表選手だったが
コーチのヒョスク(ペ・ユラム)の暴行を告発しようとして
逆においつめられ引退し,
今は高校のカーリング部を指導していた.
同僚だった選手で親友のユラが自殺する.
ユラの兄(ソン・ジェリム)は,
ヒョスクの告発に力をかしてほしいと
ジュヨンに頼む.
その間,高2のスジがヒョクスからスカウトされる.
暴行を受けることになう.
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スケート連盟の力と
女性選手の弱さが
リアルに描かれている.
そして,
コーチの「すべてを捨てろ」や
選手になるために,すべてを捨てられるか,
ということばも
日本人の発想と同じようだ.
日本人というか,日本の男.
俳優ペ・ユラムのことは
『チャンシルさんには福が多いね』でぽわあとした
演技だったのが
ここでは不気味.
どちらも印象にのこる人だ.
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日本で,柔道やバスケット,スケート,レスリングなど
告発があったが
スポーツ界や芸能界では
あたりまえすぎて
そのあとどうなったのか気にしていない.
しかし,女性がこのように
男の暴力におびえながら生きていることは
なかなか気づかない.
日本でも
このような映画をつくることが
できるはずだ.
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社会問題を告発したすぐれた韓国映画として
2009『トガニ』聴覚障害者学校での事件,双子役がすごかった(チャン・グアン)
2013『ソウォン/願い』小学生への性暴行
2022『あしたの少女』非正規雇用社員へのパワハラ
2022『薄氷の告発』
の4つを見て,
上の2つと,2022年の2つに
大きな差異がある.
2022年の2つには,
社会に回復や希望がなく,絶望的なのだ.
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日本では,私たちは
その後,何かを考え続ける習慣がない.
少数はあるかもしれない.
しかし,
作品としての出来が不十分な気がする.
『薄氷の告発』は,大作ではない.
しかし,訴える力はあった.