たけの湯な日記

個人的な感想ー画像の「引用」が不安です.

綾瀬はるかの『プリンセス・トヨトミ』--大阪全停止,という政治利用

鈴木雅之監督『プリンセストヨトミ』東宝,2011
 


この映画は,制作経緯やストーリーが
わが大阪の政争「大阪都構想W選挙」と癒着したとかなんだかで

他の都府県のかたがた,とくに自民党支持層に評判が悪くて
現在でも評価が低い.

しかし,綾瀬はるかが不動の大女優となった現在,
あらためて見直していただくだけの価値があるものと
考える.

たしかに,私たち当時の大阪人(というか今も)は
根拠のない
可能性を信じていた.
***
映画の脚本がおそまつにみえるのは
ストーリーをこの政治的メッセージが
散漫にさせているだけであって,

監督の手腕をそこにみて,まともに減点していくなら

 

名優を集めた映画作品としては,凡作である.

プリンセス・トヨトミ』扇風機(左),ひょうたん(中央),ノボリ(右),いか焼き

綾瀬はるかは,たしかに我々高齢者にも人気がある.
だから,つい
彼女を中心にカメラはおってしまう.
が,
それは,ストーリーにはあまり関係ないということ.

鈴木雅之監督の深層心理は,
日本全体を低迷させることになる
大阪の問題の核心に気づいていたのかもしれない.

しかし,彼の映像は,
名作からしっかり学んできたものがある.

プリンセス・トヨトミ』松平(左),旭(右),鳥居(手前)

奥行きを感じさせる画面は,ほぼ
人物や建物,小道具,大道具が
左右対称に配置され,
コミカルな印象を強めている.

プリンセス・トヨトミお好み焼き屋,絵画的なカット.

OJOの正面玄関に通じる一本の裏道のはるか
反対正面に,お好み焼き『太閤』を
置き,店内もさらに直線的に,入口・テーブル・テーブル・調理場と
ならべ,奥のテーブルの調理場側に松平(堤真一)がすわる.
さらにその背後に,店主の真田幸一(中井貴一)に
お好みを焼かせている.

こんないごこちの悪い,配置は
現実のお好み焼き屋では,ありえない.

客が入ってくるたびに,松平と
目があうことになる.
その上,店主夫婦が動きにくいのだ.

しかし,映画の画面とすれば
店内の重要人物がそろってみることができる.

プリンセス・トヨトミ』大阪のエレベーターのようす.

もっともすぐれたシーンは,
エレベーターで大阪のおばちゃんたちが
乗り込んでくるところだ.
エネルギッシュそのもの.

ストーリーを気にせず,画面,画面が
いきいきとしすぎているのだ.

プリンセス・トヨトミ』父と息子

【補記】

2010年ころから
大阪は,大型商業施設やスーパーの大型化,
大手商店やレストランを積極的に誘致しだした.

心斎橋の御堂筋は外国ブランドの店舗がならびだし,
あべのハルカスの開業と
活性化したように見えた.
*
市営地下鉄,市バスの民営化,
文化,保健・医療,教育,福祉部門の予算減
などの財政策などおこなわれ,
市民サービスの縮小がはかられる.

**
実体として,
住宅地区近隣の昭和に隆盛をみた商店街,
繁華街,地元のスーパー,
個人経営程度の小売店,飲食店の休業が増え,
地方都市と同様のシャッター通りに変貌していった.

私の徒歩圏内に5つほど商店街・通りがあったが
現在残っているのは,2つで,店舗数は1/3を下回り,
アーケードの維持ができず,撤去されつつもある.

**
大阪市内だけではなく,
大阪市を囲む市は
昭和期に主要駅に
それぞれ巨大な商店街を
誇っていたが,
ほとんど残っていない.

**

一方,
プリンセス・トヨトミ』の
中心舞台である難波・心斎橋エリアは
海外からの観光客がおしよせ
さらに中心化している.

新世界・阿倍野エリアは
新今宮近辺が再開発され,

明るくなったが
1980年ごろまでの労働者の町という
にぎやかさが
失われつつある.

**
私は,空堀商店街に
13年ころに2度,昼間にいっただけだ.
すでに下り坂のふんいきにあった..

 

プリンセス・トヨトミ空堀商店街