松田優作の『陽炎座』
(Gyao)
鈴木清順をみたのも
私は出遅れていた.
働くまでは,
映画館にいくだけの余裕がなかったからだ.
松田優作は,
どっかの会館で400円くらいだったか
『蘇る金狼』とか一連の作品をみることができたので,
昼飯をぬいて1日みた記憶がある.
映画から縁遠い暮らしぶりだった.
***
『ツィゴイネルワイゼン』が
何年かあとに再上映していた映画館か文化ホールに
(N氏がすすめてくれた)
いって,みておどろいた.
わけがわからないけど
すごいことはわかる.
私より少しだけ上の世代で
黒沢明や小津安二郎とかを語る映画好きは
いたが,
どうもみる機会がなかった.
***
『陽炎座』は
私には,夢を描いているように思えた.
夢をみるたびに
死へむかっているような感覚がある.
松崎春狐(松田優作)だけが
夢をみているわけではない.
何人かが夢を共有し,
不条理な死がまっているようなのだ.
病院のようであり,病院でなく
劇中劇のようであり,夢の中の夢.
はたされない性愛の感覚を
女の情念ととりちがえた
ひとりよがりの男のみる
かってな妄想を
イメージとして伝えること.
コミュニケーションの
くいちがいをも受け入れ
どこでもないところへ
むかっていく.
誰かに,
じぶんの夢を語りたい.
しかし,語れば語るほど
矮小化されていく.
***
鈴木清順の代表作は
GYAOで何本か無料配信されているのに
気づいていたが,
VHSをもっていたのでみなかった.
が,最近,機械がこわれたので
テープをすてて
GYAOでみた.