運命を変える1分
『カイロス』
50歳くらいのころ,梅田にでた夜
帰りに,
日本は高齢化社会だというけど,
やはり大阪は若い人が多いな,って
何回も思った.
それを,当時,まだ少しは会話があった
妻にいった.
じぶんが歳いったから
たいがいの人は「若」くみえるねん.
と一言で解決された.
いまでは,
近所をうろついているじいさんばあさんも
よっぽどでない限り「若い人」にみえる.
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韓国ドラマ『カイロス』は
若い3人の俳優がひっぱっていった.
聡明で母親思いのハン・エリ.
初めてみたと思って「韓国ドラマ・キャスト」でみると
「チャングム」のクミョンのセンガクシ時代を演じた人.
さらに,
ファンタジー『花遊記』の3役ゾンビと
同一の俳優,イ・セヨン.
ゴヌク役のカン・スンフンは
大人は認めないだろうが,
そばにいれば頼れる友だちであり,
エリの母親をじぶんの母親のように愛するエリの親友スジョンは
庶民的で現実的な生活感をもつ若い女性である.
主役キム・ソジンは
(『王の顔』の観相師でみた)
シン・ソクロク.
この人も40くらいにみえて
私にはかない若いのだが,
3人に対するとどうしても「おじさん」であり,
3人は世代的な違和感をもっている.
シン・ソクロクは『リターン』で
人間のもつ根源的な悪意を表現していて
主演よりもドラマをけん引していた.
『カイロス』の「ソジン」は,
ソ課長や妻ヒョンチェ,イ室長の側の世界に
いるようで,
若い3人に対して
表情の読むことのできない人物であった.
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ここ10年気になっていたが
携帯電話を駆使したドラマが
不自然ではないのは
時間や記憶,歴史に関する考えが
私たちのような人間とは異なるようだ.
人間の吐く言葉だけではなく
父親たちの
写真もたいせつな要因として
ドラマを構成していく.
「時間」そのものを
扱ったドラマで,
そのむこうには神の領域がある.
だれもが,こどものころから
抱いてきた時間や記憶への疑問を
誰かが考えようとしている.