たけの湯な日記

個人的な感想ー画像の「引用」が不安です.

谷崎潤一郎『細雪』--文学史の重要作品,らしかったから.

谷崎潤一郎細雪』(新潮文庫,上・中・下)

私が読んだのは
1979年にもらった新潮文庫の3冊.

それから
何度も,読んではみるのですが,
3ページくらいで,
断念してきました.

***
44年すぎて,

自分の終活の最重要事項が本の始末.

買ったままで読みもしなかった上に,
床にほこりとかびにまみれている
本.

自分にとっては
たいせつでも,価値はありません.
**
読んでみると
世の中(時代と人々)の雰囲気が
今ににています.

細雪』(新潮文庫

ヨーロッパで
戦争が起こっています.
日本は中国大陸侵略を拡大.

そんな時代の雰囲気が
この牧岡家の人々には

遠いところのできごとで
自分たちの暮らしとはほとんど
関係がないつもりでいても
こんなご時世,という気分はあります.

***
長女(鶴子),既婚,3人のこども.
次女(幸子),既婚,娘(悦子)
三女(雪子),未婚,30過ぎ
四女(妙子),未婚,30前

**
雪子の人物像が

控え目な,思いやりのある
しかし,戦前の日本女性らしい
意思表示をしない
美しく,若く見える女性であり

日本的な理想的な女性のように
みえます.

彼女は,お見合いを繰り返しても
まとまりません.


**
この雪子の物語として読めます.

が,読み進んでいくと
物語の中心は
幸子の家族にたいする
心情なのです.
それを軸として
戦前の,古い商家の人たちの
暮らしぶり,生き方が
みえてきます.

彼女たちの美しい装いと
芦屋や京都の風景.

大阪上本町の時間はとまっているようで
未婚の2人には息苦しいのです.

**
高校で読まされる文学史の教科書に
戦前の文豪が戦後復活するという
くだりがあります.

谷崎潤一郎



その筆頭が谷崎潤一郎
細雪

一文がわりと長くて,
呼んでいると,誰の行為や評価なのか
はっきりしない,
ひじょうに日本語文特有の
思考にしたがった文章です.

これが,
馴れてくると
読んでしまいます.

何か,すごいことが
おこるのかもしれないし
おこっていないのかもしれないような
情景.

彼女たちは
「ふん」と生返事をくりかえします.