『ねじれた家』2017, 英,米
(Gyao)
現在,高齢者とよばれるわたしたちの世代は
江戸川乱歩から
推理小説・探偵小説がすでにあふれていて
活字と映像による横溝正史ブームで
うんざりしていた.
しかし,中年になってから
名探偵ポワロを
みたことで
推理ドラマのおもしろさと
気軽さを確認して,
金田一耕助のビデオにもどったり
片平なぎさもふくむ
古いサスペンスドラマもみまくった.
結果,
古谷一行とデヴィッド・スーシェの
すごさというか仕事ぶりに
驚きもした.
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つまり,活字がしんどかった,ともいえる.
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『アガサ・クリスティー』とはいっているので
どうしても見たくなった.
クリスティーの作品は
どうしてもイギリスの貴族なのかジェントルマンなのか
がメインになる.
主役は探偵チャールズではあるが
「ねじれた家」というわけだから
家というか屋敷じたいが
映画の中心といえる.
イギリスの地方の家がいつも城のようなので
日本の多くの城が明治維新で破壊されたことが
よかったのか,へましたのか判断をまよう.
とにかく,日本では
財閥の屋敷はみることも知ることもできないので
外国のようすで
金持の生活がどんなものか
想像ができる.
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この映画は
登場人物が
個性的に演じられていて
犯人さがしには
細心の注意と記憶でもって挑まなければ
ならない.
よく見ていっても
大きな屋敷の中は
迷路のようになっている.
「ねじれた家」ということばには
作者の思い入れがこめられていて
やはり
家族の構成員どうしの関係じたいも
ねじれてしまっているのだ.
映画のおもしろさの一つに
描かれている
建物の構造を想像する愉しみがあり,
この作品はじゅうぶん楽しませてくれる.