たけの湯な日記

個人的な感想ー画像の「引用」が不安です.

ディケンズの『荒涼館』1 岩波文庫

岩波文庫『荒涼館』1  訳:佐々木徹


耳がとおすぎた母は
70代でほぼ聞こえなくなっていて
それを隠していた.

知らないうちに私が残した
もと流行本を読んでいたが
80になる前に,
昼間でも「暗い」とくりかえし
眼科も受診も拒否した.

私がきづかなかった.


**

私は,じしんそれを懼れる.

5年前に自覚していたら
ましな老人として
くらしていたかもしれない.

**

韓国ドラマばかりみないで,

読書ができるうちに,
「名作」を読んでおこう.

その指針になるのが「岩波文庫」であった.

ところが
目録をみると,品切れもあるし,
有名な古典でも,文庫化されていないものもある.


とにかく,岩波文庫にたよって
文学を少しばかりだろうが,読むくらいしか
私の人生には何もない.

**
『荒涼館』1 (全4巻らしい)

最近『大いなる遺産』を初めて読んで
次は『荒涼館』と思っていた.

分厚いので,決心がなかなかつかなかったし,
このあと第2巻にいくかどうかも
まだわからない.

結末など,どうでもいいのだ.

ディケンズが何を書こうとしているのかは
私にはわからないが,
登場人物がすでに動き出している.

荒涼館 H.K.Browne

19世紀のイギリスであるのに
日本人の私にも,
登場人物それぞれの世界観に不安が
しみわたっていることがわかる.

気がふれているように見えるのは
老婦人クルックや古道具屋のクルックだけではない.

金銭感覚のないスキンポールの論理や,
立ち居振る舞いの師タ―ヴィンドロップの自尊心.

荒涼館の主ジャーンダイスにたかる人々.

社会にルールを存在させようとする裁判所じたいが
社会を迷路においこんでいく.

「これが大法官裁判所だ.

どの州にもこの裁判所が管理する
崩れかけた建物と荒れはてた土地があり,

どの精神病院にもこの裁判所が入院を認めた
患者がいて心身を消耗し,

どの墓地にもこの裁判所が死に追いやった
屍が埋葬されている」(p.22)

ディケンズは権利や財産保持のために
裁判所にたよれば破滅するとでも
いっているようだ.

そして,警告する.

「どんな不当な扱いを受けても
我慢しなさい.
ここに来るよりはましです!」

**
登場人物が多くて,覚えられないが
巻頭に「主な登場人物」と
ロンドンの地図がある.