たけの湯な日記

個人的な感想ー画像の「引用」が不安です.

ソン・ガンホの『パラサイトー半地下の家族』

アカデミー賞受賞作品『パラサイト』ポン・ジュノ監督,2019

ぎっしりつまっていて
ひとりひとりが
いろいろ考えることができる.

それでいて
展開が予想できず,
はらはらし続ける.

世界共通のテーマというより
韓国人独特の世界観を
切り取ってみせることで
普遍的な問題提起をされたような
感覚.

『パラサイト』豪邸でくつろぐ一家4人

しかも
美しい映像.

**
『パラサイト』の
カンヌ映画祭パルムドールアカデミー賞の受賞は
韓国映画全体の水準の高さを
示しているし,
当然,
ポン・ジュノの監督してきた映画の
すばらしさが認められたともいえる.

『パラサイト』内職のピザ箱をひきとりにきた社長と家族4人

シーンそれぞれに問題提起がある.

さいごのシーンまできて
ストーリーは完結するのだが,
観客は
いくつかのシーンをふりかえり
ポン・ジュノ監督が提示した謎を
再び自由に考える楽しみをもつ.

『パラサイト』IT企業の社長(イ・ソンギュン)と妻(チョ・ヨジョン)

私は
『南極日誌』(2005)でソン・ガンホを憶えた.

映画自体のリアリティの一方にある感覚(観念性ともいうべきか)が
強すぎて,
単純な冒険物語としては理解できなかった.

グエムル』(2006)は怪物ものとして見た.

あとでツタヤで『殺人の追憶』を借りたときも
ひとりの監督の作品としてつながらずに,
ソン・ガンホの出演映画という理由だった.
※『爆裂野球団』『大統領の理髪師』も同時に借りた.

『パラサイト』一家の前にずぶぬれカッパの元家政婦(イ・ジョンウン)が現れる

格差社会を題材にしたブラックコメディーだから
日本人の私には
ふざけて描かれているのか
まじめに言及されているのか
わからない
まんが的,
象徴的なことばやシーンがいくつもある.

台湾カステラでの失敗
インディアン趣味
韓牛のチャパグリ(汁なしインスタント麺)を食べる金持ち

なんとなく,
本筋と関係しているようにも思える.

『パラサイト』運転手たちの食堂で食事をする一家

わからない映画ではなく,
細かいところまで
何か意味があるのだろうと
詮索したくなる映画.

【追記】
公開当時,見ようと思っていたら
いつのまにか映画賞を受賞していて,
映画館にいったら
びっくり.

韓国映画に長い列ができていて
満席なのを
初めて見た.