山小屋のキム・ギドク『アリラン』2011年,韓国
『絶対の愛』(2006)
『嘆きのピエタ』(2012)
『The NET』(2016)
が,同じ監督だとは
気づいていなかった.
そもそも,
他人の名前を憶えられなくなっているし
ましてや
外人の名前は覚えられない.
『アリラン』と4作見たことになるが
この作品に共通なものが見つけ出せなかった.
あえて,共通なものは
映画が表現する人間の内面性であり,
そんなもの
どのような映画にだって,
それぞれの「内面」がある.
キム・ギドクはコロナで死んだという.
その数年前に
韓国のセクハラ・パワハラ監督として
日本でも忌むべき映画業界話として
軽蔑の対象扱いであった.
気になったのが
前半に歌った「アリラン」は
パンソリのようだった.
最後に歌った「アリラン」は
私の知るアリランだった.
キム・ギドクはじぶんに語りかけ
じぶんが聞いているのだ.
映画が撮れなくなった映画監督に
もう一人のキム・ギドクが
問いかける.
カメラをどんどん回して
ちがうキム・ギドクを
退屈な山小屋生活を
編集し続けることで
明確なストーリーが
構成されていく.
映画ができあがるようすと
人間が崩壊していくさまを
見ることができる
映画ファンのための映画.