たけの湯な日記

個人的な感想ー画像の「引用」が不安です.

イ・ソンミン『復讐の記憶』--自己の記憶と歴史としての記憶

ナム・ジュヒョク『復讐の記憶』2022,イ・イルヒョン監督,韓国

80代の老人が
自分たちの歴史に復讐する.

認知症の彼は文字通り
歴史の記憶が薄らいでいきます.

『復讐の記憶』自分の記憶がうすれていくピルジュ(イ・ソンミン) 宣伝動画から


日本の統治下で,
朝鮮人じたいをうらぎり
日本名にかえ,
日本の手下になっていった連中.

自死した姉.

***
ファミレスで食事を楽しむ人々,
若い店員に難癖をつける客.

ハン・ピルジュは
ベテラン最高齢アルバイトとして
重宝されています.

20代の同僚のインギュ(ナム・ジュヒョク)は
自分を「ジェイソン」と呼び

ピルジュを「フレディ」と呼びます.

『復讐の記憶』「ジェイソン」(イ・ソンミン)と「フレディ」(ナム・ジュヒョク))

私は,
自分が老人であるから
この映画を見ました.

そこには,
老人のさいごの抵抗があります.

自分はこうして
とりかえしのつかない人生に
後悔と反省で苦しんでいるのに,

自分がたいせつに思う
人々を死にいたらせた
元凶である連中は
のうのうと生きていて
富と権力と
幸せそうな家庭を
えています.

『復讐の記憶』認知症のピルジュは「記憶」を現在にむすびつける

手紙は憶えている』(2015,カナダ,ドイツ)の
リメイクらしいのですが,
映画のむいている方向はかなりちがいました.

手紙は憶えている』は,
犯人捜しをする老人の無力さが描かれています.

『復讐の記憶』は
60年前から,復習相手がさだまっていました.
そこには
個人の〈可能性〉の問題があります.

『復讐の記憶』復讐劇にまきこまれていくフレディ(ナム・ジュヒョク)

 

 

【補記】

私は,イ・ソンミン作品を
選んでいるわけではないのですが,
『マラソン』(2005,)『シークレット・サンシャイン』(2007)あたりで
めだって,『GO GO 70s』(2008)でびっくり.

テレビで『ブレイン』(2011),『ミセン』(2014)
をみて,「イ・ソンミン」という名前を
憶えることができました.

ナム・ジュヒョクはテレビです.
『まぶしくて』(2019),

『キム・ボクジュー恋のゴールドメダル』(2016)が
おもしくて名前を憶えました.

『麗』(2016)では,おぼえられませんでした.